コラム

不動産の売却条件を決めるためのポイントとは?

1640256794-9wW0n.png人生にそう何度もない不動産売却。いざ売り出すとき、買い手が見つかって売却を決めるとき、何を基準に判断すればよいのか不安になるものです。

今回は、不動産売却時の価格・期日・諸条件など、契約を決める判断材料になるポイントをいくつか解説します。

 

 

売り出し価格は値引きを前提に設定する

 

不動産を売りに出すとき、まず決めるのが売り出し価格です。

不動産会社による訪問査定(詳細査定)の価格には、物件の状態や周辺情報はもちろん、市場の相場も加味されていますので、売り出し価格を決める際にもこの査定価格を目安にするのが妥当です。

売主さんの希望価格も提示して、不動産会社の担当者と相談しながら、納得できる売り出し価格を決めていきます。

 

その後、物件を買いたい人が現れると、そのお客さまから購入希望価格が提示されます。

売り出し価格で買ってくれれば言うことなしですが、中古物件の販売には値引き交渉がつきものです。

はじめから値引きを前提にして、査定価格より少し高めの金額を、売り出し価格として設定しておくことをお勧めします。

 

 

担当者の販売計画・販売活動をチェックする

 

不動産会社の担当者は、販売計画を立てて、それをもとに販売活動を開始します。

その内容は、レインズへの登録、不動産ポータルサイトへの掲載、自社サイトへの掲載、顧客へのダイレクトメール、チラシの作成と配布、内覧会とさまざまです。

 

買手に向けてどんなセールス戦略を考えているのか、担当者の販売計画をしっかり聞いておきましょう。

媒介契約期間の区切りは3カ月(更新可能)であることが多いので、3カ月という単位のなかでどう活動していくのかも確認してください。

 

もうひとつ大事なのは、担当者があなたの物件の魅力と弱点をしっかり理解しているかどうかを確認しておくことです。

そのうえで、魅力をどうアピールし、弱点をどうカバーするのか。問われてすぐに答えられないようでは、先行きが不安です。

 

不動産会社と専任媒介契約を結んでいる場合は、2週間に1回以上、専属専任媒介契約では1週間に1回以上、担当者から販売活動の報告書があがってきます。

報告書には、期間中に行った販売活動とその内容、問い合わせがあった件数、内覧を行った場合は、内覧件数とお客さまの反応なども書かれています。

 

問い合わせ件数があまりに少ない場合は、不動産会社が情報を囲い込み、他社から入る問い合わせをシャットアウトしている可能性があります。

また、いかにもおざなりな報告書を出してくる担当者も、信頼性に欠けます。気になるようなら本人に連絡して、詳しい説明を求めてください。

 

 

設備表と物件状況等報告書を確認し、売買条件交渉へ

 

購入希望者が見つかると売買条件の話し合いに入ります。

土地の場合では、境界設定と、それについて隣接する土地の所有者の同意書がほしいといった条件を、先方から出されることがあります。

この条件をクリアする「確定測量図」がない売主さんは、早い段階で用意しておきましょう。

 

マンションや戸建てでは、「エアコンなしなら、少し価格を下げて」といった要望もよくあります。

設備についてはあらかじめ、担当者が詳細な設備表を作成しており、エアコンの有無も明記されています。

その条件で売りに出しているのですから、住み替え先に持っていく予定だったエアコンを残すなら、反対にその分を価格に上積みして交渉することもできます。

 

雨漏り、腐敗箇所、シロアリ被害、火災や事件事故の有無まで細かく告知した物件状況等報告書も、売買契約書の一部として担当者が作成しているはずです。

物件状況等報告書と設備表は、価格交渉や瑕疵担保責任にも関わる大切な書類ですから、売買条件の交渉前に内容を把握しておきましょう。

 

ところで、購入申し込みを受けて、「今月中ならこの値段で買うと言っていますよ」、「タイミング的にうまく交渉できそうです」と、担当者がいつになく執拗に背中を押してくることがあります。

今月の彼の営業成績と、月末や期末というタイミングからして、今月中の契約ならたいへん都合がよいのは、売主さんでも買主さんでもなく、担当者自身かもしれませんので注意が必要です。

 

決済日と住み替えの都合をすり合わせる

 

売買条件の交渉の場では、価格も俎上に載せます。

購入希望価格で値引きを求められることも多いので、防衛策として、「最低でもこの金額で売る」という最低ラインを決め、担当者と共有しておきましょう。

タフネゴシエーターが現れても、最低ラインを死守すれば大きな損にはなりません。

売主さんも買主さんも納得して売買契約が成立すると、その価格が成約価格になります。

 

売買契約の締結日と決済日(物件の引き渡し日)も、重要な売買条件です。

売買契約は、売買条件がまとまって5日から1週間以内で締結するのが一般的です。買手の心変わりを避ける意味でも、契約締結日は先延ばしにしないほうがよいでしょう。

 

決済日には、物件を引き渡して売却代金を受け取ります。

そのお金で住み替え物件を購入する売主さんも多いと思いますので、新居確保の都合や引っ越し予定とすり合わせて検討し、買主さん側と相談してください。

一般的には売買契約の1カ月から3カ月後に、決済日を設定することが多いです。

 

 

まとめ

 

・売り出し価格は査定価格をもとに決める

・販売計画や報告書はシビアにチェック

・条件が折り合ったら1週間以内に契約を

 

 

 

 

 

 

【コラム執筆者】

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山本 健司

プロフィール

ミライアス株式会社代表取締役。大手不動産会社で全国1位の成績を連続受賞。不動産相談件数16,000件超。著書『初めてでも損をしない 不動産売却のヒケツ(サンルクス出版)』『損しない! モメない! 実家の不動産相続のヒケツ(サンルクス出版)』