コラム

マンション購入時の管理費・修繕積立金とは?違いや相場をわかりやすく解説

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分譲マンションに住む人は、管理費や修繕積立金を毎月支払っていく必要があります。

 

マンションを購入するときは、住宅ローンの返済負担だけでなく、管理費や修繕積立金の支払額も確認することが大切です。

 

またマンションによっては、入居中に管理費や修繕積立金が値上げされるケースがあります。

 

本記事では、マンションの管理費と修繕積立金の違いや相場、値上げされるケースなどをわかりやすく解説していきます。

 

 

 

マンションの「管理費」と「修繕積立金」の違い

 

管理費と修繕積立金は、どちらもマンションの区分所有者から集められる金銭ですが、徴収される理由や使いみちが異なります。

 

ここでは管理費と修繕積立金の違いを、詳しくみていきましょう。

 

 

 

管理費とは

 

管理費とは、マンションの共用部分を維持・管理するために徴収される金銭です。

 

管理費で賄われている費用の例は、以下のとおりです。

 

  • 管理人の人件費
  • エレベーターのような共用設備の保守点検費用
  • 共用部分の清掃費用、ゴミ処理費用
  • 共用部分の水道光熱費
  • 清掃会社などの業務委託費用
  • 共用部分の火災保険料や地震保険料
  • エントランスや中庭の維持管理費用
  • 管理組合の運営費用 など

 

このように管理費は、入居している人が快適に暮らせるよう、マンションの共用部分を日常的に管理する目的で徴収されます。

 

 

 

修繕積立金とは

 

修繕積立金とは、マンションの建物部分や設備などを計画的に修繕するために、管理費とは別で積み立てられている金銭です。

 

国土交通省では「全国にあるマンションの98.5%が修繕積立金を徴収している」と回答 しています。

※出典:国土交通省「平成30年度 マンション総合調査」

 

マンションでは、屋根や外壁、廊下、エントランスなどの共用部分を維持・修繕するために、およそ10〜15年のサイクルで「大規模修繕」が実施されます。

 

賃貸マンションでは、建物や設備のメンテナンス費用をすべてオーナーが負担します。

 

一方で分譲マンションは、区分所有者が協力して費用を負担しなければなりません。

 

大規模修繕の費用は、数千万円ほどかかるのが一般的です。

 

そのため多くのマンションでは「長期修繕計画」を立てて、入居している方々から修繕積立金を徴収し、大規模修繕の費用を計画的に準備しているのです。

 

なおマンションによっては、修繕積立金の額を管理費の一定割合としている場合や、近隣の他のマンションの金額を参考に決めている場合もあります。

 

 

 

マンションの管理費と修繕積立金の相場はいくら?

 

では、マンションの管理費と修繕積立金は、一般的にいくら徴収されるのでしょうか。

 

ここでは国土交通省の「平成30年度マンション総合調査結果」をもとに、管理費と修繕積立金の相場を解説していきます。

※どちらも駐車場使用料等からの充当額を除く

 

 

 

管理費の相場

 

1戸あたりの管理費の平均額は、以下のとおりです。

 

  • 全体:10,862円
  • 単棟型:10,970円
  • 団地型:10,419円

 

1戸あたりの管理費の平均は、月額1万円強でした。単棟型と団地型で、マンションの管理費に大きな違いはみられません。

 

また管理費の平均について「10,000円超15,000円以下」と回答した割合が22.5%ともっとも多く、次いで「7,500円超10,000円以下」の17.2%が多い結果となりました。

 

マンションが完成した年でみると、昭和44年以前に建てられたマンションの管理費は平均で7,211円であったのに対し、平成27年以降に建てられたマンションは平均13,547円でした。

 

築年数が新しいマンションのほうが、管理費は高い傾向にあるようです。

 

 

 

修繕積立金の相場

 

1戸あたりの修繕積立金の平均額は、以下のとおりです。

 

  • 全体:11,243円
  • 単棟型:11,060円
  • 団地型:12,152円

 

1戸あたりの修繕積立金の平均は、月額11,243円となりました。また団地型のほうが単棟型よりも、修繕積立金は高い傾向にあります。

 

修繕積立金の平均が「10,000円超15,000円以下」と回答した割合が25.1%ともっとも多い結果となりました。次いで多いのが「7,500円超10,000円以下」の17.9%です。

 

マンションの築年数別に修繕積立金の平均額を見てみると、昭和44年以前に完成したマンションは26,356円であるのに対し、平成27年以降は6,654円となりました。

 

修繕積立金は、管理費とは逆に、築年数が古いほど高くなる傾向にあるといえます。

 

 

 

マンションの管理費と修繕積立金は値上がりする可能性がある

 

管理費や修繕積立金は、毎年同じであるとは限らず値上げされる場合があります。

 

管理費が値上げされるのは「マンション経営が不振である」「管理費を滞納する区分所有者が多い」など限られたケースです。

 

対して修繕積立金は、管理費と比較して値上がりしやすいです。

 

例えば「段階増額積立方式」を採用しているマンションは、新築時の修繕積立金を安くする代わりに、一定の築年数が経過するごとに修繕積立金の額を増額していきます。

 

また大規模修繕時の費用が、長期修繕計画での想定を上回っていた場合、修繕積立金が値上げされる可能性があります。

 

積立額が不十分であった場合、入居者から修繕費を一括で徴収することもあるのです。

 

地震や津波などの自然災害で生じた共用部分の損傷を修繕することで、修繕積立金が値上げされるケースもあります。

 

長期修繕計画は、経年劣化による大規模修繕を計画したものであり、地震や津波などの自然災害による損傷は想定されていないためです。

 

管理組合が地震保険に加入していると、地震や津波などが発生しマンションが損傷したときに保険金で修繕費用が賄われる可能性があります。

 

マンションを購入するときは、管理組合が地震保険に加入しているか確認すると良いでしょう。

 

 

 

マンションの管理費と修繕積立金は値上がりする可能性がある

 

マンションの管理費や修繕積立金を滞納すると、管理会社や管理組合から支払いを催促されるのが一般的です。

 

催促されたにもかかわらず滞納が続くと、強制執行によって財産を差し押さえられてしまう恐れがあります。

 

国土交通省の調査によると、全国にある管理組合の24.8%が、管理費と修繕積立金を3ヶ月以上滞納する入居者を抱えています 。

※国土交通省「平成30年度 マンション総合調査

 

管理費や修繕積立金を滞納すると、マンションが適切に維持・管理・修繕されなくなるかもしれません。

 

また滞納者が増えたことで管理費や修繕積立金が値上げされると、同じマンションに住む人々にさらなる迷惑をかけることになるでしょう。

 

マンションを購入したのであれば管理費と修繕積立金は、滞納することなく毎月支払うことが大切です。

 

 

 

マンションは管理費や修繕積立金の安さだけで選ばない

 

ランニングコストを抑えたいからといって、管理費や修繕積立金の安さだけでマンションを選ぶのはおすすめできません。

 

特に修繕積立金が安いマンションは、将来的な値上がりだけでなく、一括徴収されるリスクもあります。

 

マンションを購入するときは、管理費や修繕積立金の額が妥当であるか確認することが大切です。

 

適正額は「周辺にある戸数や立地などの条件が似たマンションと比較する」「不動産会社の担当者に確認する」などの方法で確認できます。

 

またマンションが段階増額積立方式を採用している場合、長期修繕計画に修繕積立金の推移が記載されているため、購入前に必ず確認しておきましょう。

 

 

 

まとめ

 

・管理費は、主にマンションの共用部分を管理維持するために徴収される費用です。一方で修繕積立金は、将来的な大規模修繕に向けて積み立てられる金銭です。

 

・管理費や修繕積立金の設定は、マンションごとに異なります。また段階的に修繕積立金が値上げされる場所も少なくありません。

 

・マンションを購入する際は、管理費や修繕積立金の額、値上げの予定などを必ず確認しましょう。

 

 

 

 

【コラム執筆者】

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品木 彰(シナキ アキラ)

プロフィール

保険・不動産・金融ライター。ファイナンシャルプランナー2級技能士。大手生命保険会社や人材会社での勤務を経て2019年1月に独立。年間で700本以上の記事執筆に加えて、不動産を始めとしたさまざまな記事の監修も担当している。

https://daisakukobayashi.com/