コラム

不動産売却時の悩みはどこに相談する?主な相談先や費用などをわかりやすく解説

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不動産売却に関する悩みや疑問などの多くは、不動産会社の担当者に相談すると解決できるでしょう。

 

しかし、税金や法律などがかかわってくる場合、税理士や弁護士といった専門家への相談が必要となる場合があります。

 

解決したい疑問や悩み、トラブルなどに応じた相談先を選ぶことが大切です。

 

本記事では、不動産売却における悩みの相談先や費用をわかりやすく解説します。

 

 

不動産売却の方法は「不動産会社」に相談する

 

不動産を売却するときは、不動産会社に買主を探してもらうのが一般的です。

 

そのため、不動産の売却時において不動産会社は、最初の相談相手となります。

 

 

不動産会社に相談する場面

 

不動産会社には、売却の方法や戦略などを相談できます。

 

また、売却する不動産の価格査定や売買契約書の作成、重要事項説明なども不動産会社の主な役割です。

 

不動産会社は、不動産売却を幅広くサポートしてくれます。

 

税理士や司法書士などでなければ対応できない場合は、提携する専門家を紹介してくれるケースもあります。

 

不動産の売却に成功するかどうかは、不動産会社選びにかかっているといっても過言ではありません。

 

複数の不動産会社に相談をし、信頼できる1社を選びましょう。

 

 

不動産会社に相談したときの費用

 

不動産会社に仲介してもらった場合は、仲介手数料の支払いが発生することがあります。

 

仲介手数料は「物件価格×3%+6万円(税抜)」が上限であると法律で定められています。

 

仮に不動産の売却価格が3,000万円である場合、仲介手数料は3,000万円×3%+6万円=96万円(税抜)が上限です。

 

不動産会社ごとに、仲介手数料の設定は大きく異なります。

 

法定上限額にする不動産会社もあれば、買主側の仲介手数料を無料にする不動産会社もあるため、契約を結ぶ前によく確認することが大切です。

 

なお、仲介手数料は成功報酬として不動産会社に支払う金銭です。買主が見つからなかったときは支払う必要はありません。

 

 

不動産売却時の税金は「税理士」に相談する

 

不動産売却時の税金については、税理士または最寄りの税務署に相談をしましょう。

 

 

税理士に相談する場面

 

不動産を売却して利益(譲渡所得)が発生したときは、所得税(いわゆる譲渡所得税)や住民税を納めなければなりません。

 

税金を納めるときは、確定申告が必要です。

 

また、特例措置や軽減措置を利用することで、譲渡所得にかかる税金の負担を軽減したり、支払いを先送りにしたりできる場合があります。

 

税理士に相談をすると、譲渡所得や税金の具体的な金額を計算してもらえます。

 

確定申告に必要な書類の作成や申告を代行してもらうことも可能です。

 

 

税理士に依頼するときの費用

 

税理士に税金の計算や確定申告の代行を依頼するときは、数万〜十数万円ほどの費用がかかるのが一般的です。

 

そこで、税金についての不明点は、最初は税務署の窓口相談や国税庁の電話相談など無料で相談できるサービスを利用すると良いでしょう。

 

 

不動産売却時の登記は「司法書士」に相談する

 

司法書士は、法務局や裁判所への提出書類などの作成をする専門家です。

 

司法書士に相談をするのは、不動産に関する登記をするときです。

 

 

司法書士に相談する場面

 

ローンを組んで購入した不動産を売却するときは、原則として抵当権抹消登記をしなければなりません。

 

抵当権は、ローンの契約者が返済を長期間にわたって滞納したときに、借入先の金融機関が担保となっている不動産を差し押さえられる権利です。

 

不動産を売却するときは、ローンを完済し抵当権を抹消しなければ、基本的に売買契約が成立しません。

 

そのため、売却代金と自己資金でローンを完済して抵当権を抹消する必要があります。

 

抵当権抹消登記は自分自身でもできますが、法律や不動産の専門知識が必要となるため、報酬を支払って司法書士に依頼するのが一般的です。

 

 

司法書士の相談費用

 

司法書士に登記を代行してもらうときの費用は、数万〜10万円前後です。

 

また、登記をする際に納める税金である登録免許税も負担する必要があります。

 

抵当権抹消登記をするときの登録免許税額は、不動産1個につき1,000円であるため、土地と建物で2,000円となります。

 

 

不動産売却時のトラブルは「弁護士」に相談する

 

不動産売却にともなう法律関係の問題解決については、法律の専門家である弁護士に相談をします。

 

 

弁護士に相談する場面

 

通常の不動産売却で弁護士がかかわることは、そう多くはありません。

 

弁護士に相談する主なタイミングは、不動産売却で深刻なトラブルが発生したときです。

 

例えば、離婚による財産分与や相続時の遺産分割などでトラブルに発展したとき、弁護士に相談すると解決に向けたアドバイスをくれたり代わりに相手と交渉したりしてくれます。

 

他にも、不動産売買契約書の作成や確認、登記簿上での権利関係の確認などで弁護士に相談をすることもあります。

 

 

弁護士の相談費用

 

弁護士は、基本的に相談をするだけで費用がかかります。

 

相談費用は、30〜1時間当たり5,000〜1万円程度が一般的です。初回の面談のみ無料としている場合もあります。

 

また、弁護士にトラブルの解決を依頼する場合、着手金や成功報酬などがかかる場合があります。

 

トラブルの内容にもよりますが、弁護士に解決を依頼するときの費用総額は数十万円ほどです。

 

 

登記や土地の測量は「土地家屋調査士」に相談する

 

土地家屋調査士は、不動産の登記に必要な土地や建物の調査や測量をする専門家です。

 

 

土地家屋調査士に相談する場面

 

隣地との境界が確定していない土地は、なかなか買い手が見つかりません。

 

購入後に隣地の所有者とトラブルに発展しやすいためです。

 

そのため、隣地との境界が確定していない土地を売却するときは、土地家屋調査士に依頼して境界を確定し、確定測量図を作成する必要があります。

 

 

土地家屋調査士に依頼するときの費用

 

土地家屋調査士に依頼するときの費用は、作業内容や不動産がある地域などで異なります。

 

数万円で済むケースもあれば、10万円~100万円以上の費用がかかることもあるため、複数の土地家屋調査士から見積もりを取り寄せ、比較して依頼先を選ぶと良いでしょう。

 

 

不動産の価値については「不動産鑑定士」に相談する

 

売却する不動産の価格は、不動産会社による査定でも知ることができますが、より正確な価値を知りたいときは不動産鑑定士に依頼すると良いでしょう。

 

 

不動産鑑定士に相談する場面

 

不動産鑑定士に依頼をするのは、不動産の適正な価格を知りたいときです。

 

例えば、相続で遺産を平等に分けるときや、離婚による財産分与をするときなどに不動産鑑定を依頼することがあります。

 

不動産鑑定士が作成する「不動産鑑定評価書」は法的根拠のある書類であり、相続や離婚などで揉めた際、不動産の価値を証明する書類として裁判所に提出が可能です。

 

通常の不動産売却においても、購入希望者との交渉を有利に進める目的で不動産鑑定士に不動産の鑑定を依頼するケースはあります。

 

ただし、不動産の成約価格は売主と買主の合意で決まるため、不動産鑑定士が算出した金額で必ずしも売却できるとは限らない点に注意しましょう。

 

 

不動産鑑定士の相談費用

 

不動産の鑑定を依頼したときの報酬は、数十万円ほどかかるのが一般的ですが、中には10万円程度で査定を依頼できるケースもあります。

 

 

まとめ

 
●不動産売却の方法や戦略などは不動産会社に相談する

●売却時の税金や確定申告については税理士に相談する

●登記手続きについては司法書士に相談する

●不動産売却時の法律関係は弁護士に相談する

●土地の登記や測量は土地家屋調査士に相談する

●売却する不動産の価値は不動産鑑定士に相談する

 

 

 

 

【コラム執筆者】

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山本 健司

プロフィール

ミライアス株式会社代表取締役。大手不動産会社で全国1位の成績を連続受賞。不動産相談件数16,000件超。著書『初めてでも損をしない 不動産売却のヒケツ(サンルクス出版)』『損しない! モメない! 実家の不動産相続のヒケツ(サンルクス出版)』