ミックスローンとは?メリットやデメリットを解説

住宅ローンの金利タイプには変動金利と固定金利があり、どれを選ぶべきか迷う人は少なくありません。
金利タイプの判断に迷うときは「ミックスローン」を組むのも1つの方法です。ミックスローンであれば、変動金利と固定金利を組み合わせてローンを組むことができます。
本記事では、ミックスローンのメリットやデメリットを分かりやすく解説します。
ミックスローンとは
ミックスローンとは、1人の契約者が金利タイプや返済期間が異なる住宅ローンを組み合わせて借り入れをすることです。
例えば、借入金額が合計4,000万円である場合「3,000万円を変動金利、1,000万円を固定金利」のように異なる金利タイプを組み合わせて借り入れます。
また、金融機関によっては「借入額のうち3,000万円は返済期間30年、残りの1,000万円は10年」のように返済期間をミックスできる場合があります。
返済期間がミックスできる場合は、同一の金利タイプに指定することも可能です。
ミックスローンのメリット
ミックスローンの主なメリットは、以下の3点です。
- 金利変動リスクを軽減できる可能性がある
- 固定金利よりも返済負担を軽減できる
- 今後のライフプランに応じた柔軟な借り入れが可能
1つずつ解説します。
金利変動リスクを軽減できる可能性がある
変動金利は、借入金利や借入当初の返済額がもっとも低くなります。その反面、市場の状況や政府の金融政策の影響により、返済途中で上昇する可能性があります。
ミックスローンを利用し、変動金利と固定金利を組み合わせて借り入れた場合、途中で金利が上昇しても固定金利の部分の返済額は変わりません。
そのため、変動金利のみで住宅ローンを組んだときよりも、金利上昇時のリスクを抑えられる可能性があります。
完済までに金利の上昇が想定される場合、変動金利と固定金利をミックスして借り入れ、金利変動リスクを抑えるのも1つの方法です。
固定金利よりも返済負担を軽減できる
固定金利は、借り入れから一定期間の金利を固定できるため、金利上昇に対する不安を抱えずに済みますが、借入当初の返済額は変動金利よりも高くなります。
そこで、固定金利に変動金利をミックスすることで、固定金利のみを借り入れたときよりも借入当初の返済負担を抑えることが可能です。
完済まで金利が上昇しなかった場合、固定金利のみの住宅ローンを選んだときよりも返済総額を抑えることもできるでしょう。
今後のライフプランに応じた柔軟な借り入れが可能
ミックスローンでは、金融機関が定める範囲内で固定金利と変動金利の割合を自由に決めることができます。また、金融機関によっては返済期間の調整も可能です。
そのため、出産や子どもの進学、定年退職などのライフステージに応じた柔軟な借り入れが可能です。
例えば、返済開始から10年後に子どもが大学に進学する年齢になるとしましょう。マイホームを購入するときはミックスローンを利用し、固定金利を3,000万円、変動金利で1,000万円を借り入れようと考えています。
10年後には子どもが大学に進学し、教育費がピークを迎えると想定されます。そこで、変動金利部分の返済期間を10年間にすると、教育費がピークを迎えるときは固定金利部分のみの返済となるため、家計への負担を抑えることが可能です。
ミックスローンのデメリット
ミックスローンには多くのメリットがある反面、以下のようなデメリットもあります。
- 借入時の諸費用が増えることがある
- 各金利タイプの長所が薄れてしまいやすい
- 同じ金融機関を利用する必要がある
デメリットも踏まえたうえで、ミックスローンを借り入れるかどうかを判断することが大切です。
借入時の諸費用が増える
ミックスローンを利用する場合、基本的に住宅ローンの契約を2本結ぶことになります。そのため、融資手数料や保証料、収入印紙代などの諸費用も2本分かかります。
そのため、1本の住宅ローン契約を結ぶときよりも、借入時の諸費用が増えてしまいやすいです。
ミックスローンを検討する際には、借入時の諸費用も踏まえて本当にメリットがあるかどうかを確認することが大切です。
各金利タイプの長所が薄れてしまいやすい
ミックスローンは、固定金利と変動金利のリスクを分散できる反面、それぞれの長所は薄れてしまいます。
例えば、変動金利と固定金利を組み合わせた場合、借入当初の返済額は変動金利のみを選んだときよりも高くなります。
完済まで世の中の金利が上昇しなければ、返済総額も高くなってしまうでしょう。
同じ金融機関を利用する必要がある
ミックスローンは、同じ金融機関の金利タイプを組み合わせる必要があります。「変動金利はA銀行、固定金利はB銀行」のように、異なる金融機関の金利タイプを組み合わせることはできません。
金融機関によって、取り扱いに力を入れている金利タイプは異なります。例えば、変動金利の取り扱いが積極的な金融機関は、固定金利にあまり力を入れていないかもしれません。
ミックスローンを組むときは各金融機関の変動金利と固定金利のどちらも確認する必要があるため、検討に時間がかかりやすいです。
ミックスローンの繰り上げ返済
ミックスローンでは、柔軟に繰り上げ返済ができます。
例えば、固定金利で1,500万円、変動金利で2,000万円を借り入れていた場合、変動金利の方のみを繰り上げ返済することが可能です。
返済途中で金利が上昇したときは、変動金利のローン契約を繰り上げ返済して元本を減らすことで、毎月の返済額の上昇を抑えることが可能です。
一方で繰り上げ返済をするときに、固定金利と変動金利のどちらを優先すべきか検討する必要があります。そのため、通常の住宅ローンよりも、繰り上げ返済時をするときに検討する項目が増えることになります。
ミックスローンとペアローンの違い
ペアローンは、夫婦や親子などで1本ずつ契約を結ぶ形式の住宅ローンです。住宅ローンの契約が2本になるという点では、ミックスローンとペアローンは似ているといえます。
一方で、ミックスローンは1人分の年収をもとに借入額が決まるのに対し、ペアローンでは契約者2人の収入が合算されるため、より多額の借り入れが可能です。
ミックスローンは、異なる金利タイプを組み合わせることでリスクを分散させやすいですが、ペアローンとは異なり借入額を増やす効果は期待できません。
まとめ
- ミックスローンとは異なる金利タイプや返済期間を組み合わせることができる住宅ローンのこと
- ミックスローンであれば、変動金利のみを選択したときよりも金利変動リスクを軽減できる可能性がある
- ミックスローンは固定金利のみを選択したときよりも借入当初の返済負担を軽減できる
- ミックスローンを組む場合、借入時の諸費用が2本分かかるだけでなく、変動金利と固定金利の長所も薄れてしまいやすい
【コラム執筆者】

品木 彰(シナキ アキラ)
プロフィール
保険・不動産・金融ライター。ファイナンシャルプランナー2級技能士。大手生命保険会社や人材会社での勤務を経て2019年1月に独立。年間で700本以上の記事執筆に加えて、不動産を始めとしたさまざまな記事の監修も担当している。
https://daisakukobayashi.com/