コラム

不動産の売買でかかる印紙税とは?金額や納める方法を解説

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不動産の売買契約書や建築工事請負契約書には、印紙税という税金が課せられます。

 

印紙税は、マイホームを購入する際の諸費用の1つです。

 

税額はさほど高くないケースがほとんどですが、マイホーム購入費の資金計画を立てる際は印紙税がいくらかかるのかを正確に把握することが重要となります。

 

今回は、印紙税の税額の決まり方や納める方法を解説します。

 

 

印紙税は課税文書に課せられる税金

 

印紙税は、契約書や領収書などの課税文書に課せられる税金です。

 

不動産取引においては、不動産売買契約書や金銭消費貸借契約書などが印紙税の課税対象となります。

 

不動産の取引では、売主と買主が折半して印紙税を負担するのが一般的です。

 

通常、不動産の契約書は売主分と買主分の2通が作成され、各々が保管します。

 

その場合、売主と買主それぞれが保管する契約書の収入印紙代を、各自が負担します。

 

 

不動産取引における印紙税の税額

 

印紙税の税額は、契約書に記載された金額によって決まります。

 

また、契約書の種類によっても印紙税の税額は異なります。

 

では、実際の印紙税額はいくらなのでしょうか。

 

不動産売買契約書、金銭消費貸借契約書、建築請負契約書の印紙税額をみていきましょう。

 

 

不動産売買契約書・金銭消費貸借契約書に貼付する印紙税

 

不動産売買契約書や金銭消費貸借契約書(住宅ローンの契約書)に課税される印紙税の税額は、次の通りです。

 

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※出典:国税庁「不動産売買契約書の印紙税の軽減措置
※1:金銭消費貸借契約書は対象外

 

2024年(令和4年)4月1日から2027年(令和9年)3月31日までに作成される不動産売買契約書には、印紙税の軽減税率が適用されます。

 

例えば、不動産売買契約書に記載された契約金額が4,000万円である場合、本来の印紙税額は20,000円ですが、軽減税率の適用後は10,000円となります。

 

ただし、金銭消費貸借契約書には軽減税率は適用されません。

 

金銭消費貸借契約書に記載された金額が4,000万円であれば、印紙税額は20,000円となります。

 

 

建築工事請負契約書に貼付する印紙税額

 

建築工事請負契約書とは、住宅の新築や増改築をするときの工事を発注する際に締結する契約書のことです。

 

建築工事請負契約に貼付する印紙税額は、次の通りです。

 

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※出典:国税庁「建設工事請負契約書の印紙税の軽減措置

 

建築工事請負契約書についても、2024年(令和6年)4月1日から2027年(令和9年)3月31日までに作成されるものには、軽減税率が適用されます。

 

例えば、建築工事請負契約書に「工事代金6,000万円・設計代金500万円」と記載されていたとしましょう。

 

合計金額は6,500万円であるため、本来の印紙税額は60,000円ですが、軽減税率が適用されることで30,000円となります。

 

 

収入印紙の購入方法

 

印紙税を納めるためには、契約書に貼付する収入印紙を用意する必要があります。

 

ただし、実際の不動産取引では契約書に貼付する収入印紙を不動産会社が手配することがあります。

 

その場合、売主や買主が収入印紙を購入する必要はありません。

 

もし購入が必要な場合は、最寄りの郵便局に向かい、窓口で契約書に課せられる印紙税の税額と同じ金額分の収入印紙を注文すると良いでしょう。

 

収入印紙は1〜100,000円まで計31種類ありますが、郵便局であればそのすべてを購入できます。

 

ただし、規模が小さい郵便局では、50,000円以上の収入印紙が購入できないことがあります。

 

郵便局以外では、コンビニや法務局、インターネットのオークションサイト、金券ショップで収入印紙を購入できます。

 

法務局では全種類の収入印紙を購入できますが、それ以外は基本的に選択肢が限られます。

 

特に、コンビニで販売されている収入印紙は200円が中心です。

 

 

印紙税の納税方法とペナルティ

 

最後に、印紙税を納める方法や納税しなかった場合のペナルティを解説します。

 

 

印紙税の納税方法

 

印紙税の納税する流れは、以下の通りです。

 

  1. 必要な額面の収入印紙を購入する。
  2. 契約書の金額に応じた印紙を契約書に貼り付ける
  3. 収入印紙に印鑑の押印または署名で消印をする

 

印紙税を貼り付けるだけでは、納税したことになりません。

 

印鑑や署名で消印を押し、収入印紙を使用済みの状態にする必要があります。

 

 

収入印紙を貼らない場合は過怠税が課せられる

 

課税文書に収入印紙を貼らず、印紙税を納めなかった場合は「過怠税」が課せられます。

 

過怠税の税額は、本来納付すべき印紙税額とその2倍に相当する額の合計です。

 

つまり、本来の3倍の印紙税を納めなければならなくなります。

 

また、収入印紙を貼付したものの、消印をしなかった場合、印紙税額と同じ金額の過怠税が課せられます。

 

 

電子契約では印紙税の納税は不要

 

不動産の売買契約や建築工事請負契約などが電子契約であった場合、印紙税は課税されません。

 

印紙税の課税対象となるのは「用紙等で課税対象となる文章を作成し、その目的にしたがって使用した場合」と法律で規定されているためです。

 

そのため、契約書が紙ベースではなく電子データであれば、印紙税の納税は不要です。

 

 

まとめ

 

  • 不動産売買や建築工事請負、住宅ローンの契約書には、記載金額に応じた印紙税が課せられる
  • 2027年(令和9年)3月31までに作成される不動産売買契約書と建築工事請負契約書には軽減税率が適用される
  • 印紙税を納めるときは、契約書に収入印紙を貼付し、押印や署名で消印する

 

 

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品木 彰(シナキ アキラ)

プロフィール

保険・不動産・金融ライター。ファイナンシャルプランナー2級技能士。大手生命保険会社や人材会社での勤務を経て2019年1月に独立。年間で700本以上の記事執筆に加えて、不動産を始めとしたさまざまな記事の監修も担当している。

https://daisakukobayashi.com/