マイホームは現金一括で購入しても大丈夫?メリットやデメリットを解説

戸建て住宅やマンションは一般的に高額なため、取得する人の多くは住宅ローンを利用しますが、現金一括で購入する人も一定数います。
マイホームの現金一括購入には、住宅ローンの利息負担がなくなるなどのメリットがある一方、さまざまな注意点があります。
本記事では、マイホームを現金一括で購入する際のメリット・デメリットや注意点を解説します。
マイホームを現金一括購入する主なメリット
マイホームを現金一括で購入することには、以下のようなメリットがあります。
- 住宅ローンの利息や借入費用が不要になる
- ローン審査が不要なためスムーズに購入できる
- 返済の滞納により物件を失う心配がない
- 売主からの信頼が得られて価格交渉が有利になることも
住宅ローンの利息や借入費用が不要になる
マイホームを現金一括で購入する場合、住宅ローンの利息を支払う必要がありません。
住宅ローンの利息は借入額や返済期間などに応じて決まります。
住宅ローンは借入額が高いだけでなく、20年や30年など長期にわたって返済を続けるため、利息負担は数百万円、あるいは1,000万円以上になることもあります。
また、住宅ローンを利用する際には、利息以外にもさまざまな借入費用がかかります。
例えば、金融機関に支払う事務手数料や保証会社に支払う保証料、住宅ローンの契約書に添付する印紙税などです。
現金一括購入では、住宅ローンの利息に加えて諸費用が一切不要になるため、取得コストを大幅に減らせる可能性があります。
ローン審査が不要なためスムーズに購入できる
現金一括でマイホームを購入する場合、金融機関のローン審査を受ける必要がありません。
住宅ローンの審査では、申し込んだ人の収入や勤務先、信用情報など多岐にわたる項目が入念に確認されるため、結果が出るまでに一定の期間を要します。
売買契約を結ぶ前に受ける事前審査であれば数日で結果が分かることもありますが、本審査では1か月ほどかかることもあります。
住宅ローンを組まないのであれば、ローンの審査を受ける必要がなく、より迅速にマイホームを取得できるため、新居での生活を早く始めることが可能です。
また、住宅ローンの審査を受ける際に必要な源泉徴収票や確定申告書などの必要書類を準備する手間も省けるでしょう。
返済の滞納により物件を失う心配がない
住宅ローンを組む場合、取得する不動産を借入金の担保とする「抵当権」が設定されます。
ローンの返済を長期にわたり滞納した場合、金融機関は担保となっている不動産を差し押さえ、競売により強制的に売却するため、家を失ってしまいます。
その点、現金一括でマイホームを購入するのであれば住宅ローンの返済義務を負いません。
将来的に収入が減少したり予期せぬ支出が発生したりした場合でも、ローンの返済が滞り、大切なマイホームを金融機関に差し押さえられることはなくなります。
売主からの信頼が得られて価格交渉が有利になることも
買主が住宅ローンを利用する場合、本審査に落ちてしまうと契約が白紙に戻るリスクがあります。
一方、買主が現金一括で購入するのであればそのリスクがなく、売主はより安心して取引を進められるため、価格交渉にも応じてもらいやすくなる場合があります。
売主が早く物件を売却したいと考えているときや人気物件で複数の購入希望者がいるときは、交渉を有利に進めやすくするために現金一括で購入するのも1つの方法です。
マイホームを現金一括で購入する主なデメリット
マイホームの現金一括購入にはさまざまなメリットがある一方で、以下のようなデメリットがあります。
- 手持ちの資金が大きく減る
- 住宅ローン控除を利用できない
- 火災保険に加入し忘れるリスクがある
- 団体信用生命保険に加入できない
手持ちの資金が大きく減る
マイホームを現金一括で購入する場合、一度に多額の自己資金を支払うことになるため、購入後に手元に残る資金額が大幅に減少する可能性があります。
手持ち資金が減ることにより、子どもが進学するときや老後生活が始まったあと、車を買い替えるときなどに資金不足が生じるかもしれません。
また、病気や退職などで収入が減少したときや医療費の支払いが発生したとき、資金繰りに苦労する恐れもあります。
そのため、現金一括購入を検討する際には、購入後の生活費や将来的に必要となる資金も考慮し、無理のない資金計画を立てることが重要です。
将来のライフイベントに備えた資金や万が一の病気やケガ、失業などに備える緊急予備資金まで使ってしまわないようにしましょう。
住宅ローン控除を利用できない
現金一括でマイホームを購入する場合、住宅ローンを利用する際に受けられる税制優遇措置である「住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)」を受けられません。
住宅ローン控除は、年末の住宅ローン残高に応じて、所得税や住民税が一定期間にわたり軽減される制度です。
2022年1月〜2025年12月末までに住宅を取得した場合、最大で「年末時点の借入残高×0.7%」が控除されるため、大きな節税効果が期待できます。
住宅ローン控除による節税額は、借入額や期間、個人の所得などで異なりますが、総額で数十万円から数百万円になることもあります。
現金一括購入は住宅ローンの利息や借入費用を支払う必要がない一方、住宅ローン控除による節税効果を得られません。
その点を考慮すると、現金一括購入にはさほど金銭的なメリットがない場合もあります。
火災保険に加入し忘れるリスクがある
住宅ローンを組んでマイホームを購入する場合、金融機関から火災保険の加入を求められるのが一般的です。
火災保険は、火災や落雷、爆発に加え、風災、雪災、水災、盗難など、幅広い損害に備えられる損害保険です。
建物(門、塀、物置なども含む)や家財(家具、衣服など)が補償対象となります。
マイホームを現金一括で購入する場合、火災保険の加入は任意であるため、加入手続きを失念してしまうかもしれません。
火災保険に加入していないと、火事や自然災害などの被害に遭ったとき、建物の修繕費用や再建にかかる費用のすべてを、原則として自己資金で賄う必要があります。
自宅が災害による損害を負ったときに自己資金でカバーすることが難しい場合は、忘れずに火災保険に加入しましょう。
団体信用生命保険に加入できない
住宅ローンを利用してマイホームを購入する場合、多くの金融機関は団体信用生命保険(団信)への加入を融資の条件としています。
団信は、ローンの契約者が死亡または高度障害状態になった場合に、保険金によって残りの住宅ローンが弁済される仕組みの保険です。
返済中に契約者に万が一のことがあった場合でも、団信に加入していれば残された家族は住まいを失うことなく、ローンの返済も不要となります。
現金一括でマイホームを購入する場合、住宅ローンを利用しないため、団信にも加入することができません。
そもそもローンを借り入れないため、遺族が返済負担を負うことはありませんが、現金一括購入により貯蓄の残高が大きく減っている可能性はあります。
もし一家の大黒柱に万が一のことがあったとき、残された家族の生活資金が不足する可能性があるときは、別途 生命保険に加入して備えることも検討することが大切です。
まとめ
- 現金一括購入には「住宅ローンの利息や借入費用が不要になる」「購入手続きがスムーズに進む」「返済の滞納により物件を失う心配がない」というメリットがある
- 一方で「手持ち資金が大幅に減少する」「住宅ローン控除を利用できない」「団体信用生命保険に加入できない」といったデメリットもある
- 現金一括でマイホームを購入することには、メリットとデメリットがあるため、それらをよく考慮したうえで判断することが大切

品木 彰(シナキ アキラ)
プロフィール
保険・不動産・金融ライター。ファイナンシャルプランナー2級技能士。大手生命保険会社や人材会社での勤務を経て2019年1月に独立。年間で700本以上の記事執筆に加えて、不動産を始めとしたさまざまな記事の監修も担当している。
https://daisakukobayashi.com/