マンションの売却で戻ってくるお金とは?種類や金額の決まり方を解説

マンションを売却する場合、売却代金を得られる他にも税金や保険料などが戻ってくることがあります。
売却時の資金計画を立てる際は、戻ってくるお金の種類や金額の決まり方などをよく理解することが大切です。
本記事では、マンションの売却時に戻ってくる可能性がある固定資産税や火災保険料、住宅ローンの保証料などについて解説します。
マンション売却で戻ってくるお金の種類
マンションを売却するときに戻ってくる可能性があるのは、売主がすでに支払っている税金や保険料などの一部です。
具体的には、以下の5種類があります。
- 固定資産税・都市計画税の精算金
- 火災保険料・地震保険料の解約返戻金
- 住宅ローン保証料の返金
- 管理費・修繕積立金の精算金
- 所得税の還付
以降では、上記について返金がある理由や戻ってくる金額の決まり方などを解説します。
固定資産税・都市計画税の精算金
固定資産税は、毎年1月1日の時点で土地や建物などの固定資産を所有している人が負担する地方税です。
所有するマンションが市街化区域にある場合は、都市計画税もあわせて課税されます。
固定資産税と都市計画税は、その年の1月1日時点の所有者、つまりマンションの売主側に、1年分の納税義務があります。
年の途中でマンションを売却する場合でも、売主は原則として1年分を支払わなければなりません。
そこで、マンション売却の際は、引き渡し日を基準に税額を日割り計算し、売主と買主の間で精算をするのが一般的です。
精算金の計算方法
精算金は、引き渡し日と起算日を基準に計算します。
例えば、マンションの引き渡し日が7月1日、起算日が1月1日、固定資産税・都市計画税の合計が年額12万円であるとしましょう。
売主の所有期間は1月1日〜6月30日までの181日、買主は7月1日〜12月31日までの184日であるため、それぞれの負担する金額は以下の通りです。
- 売主:12万円×(181日/365日)=約5万9,500円
- 買主:12万円×(184日/365日)=約6万500円
不動産の売買契約では、引き渡し日から起算日までの日割り計算した金額を買主が売主に支払うのが一般的です。
また、精算金は仲介を担当する不動産会社が計算してくれます。
起算日の決まり方
起算日は関東圏では1月1日、関西圏では4月1日とする商慣習があり、どちらを採用するかで精算金の額が変わります。
起算日は売買契約書に記載されているため、契約時によく確認しましょう。
火災保険料・地震保険料の解約返戻金
火災保険や地震保険の保険料を一括前払いしている場合、売却時に解約すると未経過期間分の保険料が「解約返戻金」として戻ってきます。
解約返戻金の一般的な計算方法は、以下の通りです。
- 一括前払保険料×未経過料率
火災保険の未経過料率は保険会社によって異なります。
一方、地震保険の未経過料率は保険会社にかかわらず一律です。
一般的に、残っている契約期間が長いほど、未経過料率は高くなります。
なお、マンションを売却するときは、保険会社や保険代理店に火災保険と地震保険を解約する旨を必ず連絡しましょう。
マンションが売却された事実が保険会社や保険代理店に自動的に通知されるわけではないため、解約の手続きを忘れると返戻金は受け取れません。
住宅ローン保証料
マンション売却にともない住宅ローンを一括返済する際、ローン契約時に支払った「保証料」が戻ってくる場合があります。
保証料は、ローン返済が滞った際、契約者に代わって一括返済(代位弁済)をする保証会社に対して支払う手数料です。
保証料が返金されるのは「一括前払型(外枠方式)」を選択した場合です。
ローンを一括返済すると残りの期間が短縮されるため、未経過期間分の保証料から所定の事務経費を引いた額が返金されます。
一方で、住宅ローン金利に年0.2%程度を上乗せして保証料を支払う内枠方式の場合、一括返済をしても返金はありません。
売却の際は、ご自身が借り入れたローンの契約書を確認し、外枠方式と内枠方式のどちらで保証料を支払っているかを確認すると良いでしょう。
管理費・修繕積立金の精算金
管理費や修繕積立金も、引き渡し日を基準に日割り計算して精算するのが一般的です。
管理費や修繕積立金は「翌月分を当月末に支払う」といった前払いの形式が多いためです。
具体的には、引き渡し日以降の期間分を買主が売主に支払う形で精算します。
ただし、売主がマンションに住んでいる間に支払った修繕積立金の積立額のすべてが戻ってくることはありません。
所得税の還付
マンションを売却したときの利益(譲渡所得)は、所得税・住民税・復興特別所得税の課税対象です。
これらの税金は「譲渡所得税」と呼ばれます。
一方、マンションの売却で損失(譲渡損失)が出た場合、譲渡所得税はかかりません。
また、売却時の損失を給与所得など他の所得と相殺(損益通算)することで所得税が還付される可能性があります。
例えば、会社員や公務員などの給与所得者は、損益通算をすることでその年の本来の所得税額が給与天引きされた税額よりも少なくなった場合は、差額が戻ってきます。
マンション売却時の損失を損益通算ができる特例は、以下の2種類です。
- マイホーム買い換え時の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
- 特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
上記の特例を適用するためには、一定の要件を満たしたうえで売却の翌年に確定申告をする必要があります。
確定申告の期間は、例年2月16日〜3月15日です。
※土日祝日によって前後します。
マイホーム買い換え時の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
マイホームを売却して損失が発生し、新たに住宅ローンを組んでマイホームを購入した場合に適用できる特例です。
「売却するマイホームの所有期間が5年を超えている」「返済期間が10年以上の住宅ローン等を組んで新居を購入する」などの条件を満たすと適用できます。
損益通算をしてもなお引き切れない損失がある場合は、翌年以降に最大3年間繰り越して各年の所得から控除(繰越控除)できます。
特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
住宅ローンが残っているマイホームを売却して譲渡損失が生じたときの特例です。
マイホームの売買契約を結んだ前日における住宅ローン残高から売却価額を差し引いた残りの金額を限度に、その年の所得と損益通算ができます。
マイホーム買い替え時の特例と同様に、引き切れなかった損失は最大3年間繰り越すことができます。
この特例を受けるためには「売却するマイホームの所有期間が5年を超えている」「売却するマンションの住宅ローンの返済期間が残り10年以上である」などの要件を満たす必要があります。
ただし、マイホームを買い替える必要はありません。
まとめ
- マンション売却では固定資産税や管理費などが日割り精算されて戻ってくる場合がある
- 一括前払い型(外枠方式)の場合の住宅ローン保証料や火災保険料・地震保険料は売却時に未経過分が返金されることがある
- マンション売却時に損失が出た場合、特例を適用して他の所得と損益通算することで所得税が還付される可能性がある
【コラム執筆者】

品木 彰(シナキ アキラ)
プロフィール
保険・不動産・金融ライター。ファイナンシャルプランナー2級技能士。大手生命保険会社や人材会社での勤務を経て2019年1月に独立。年間で700本以上の記事執筆に加えて、不動産を始めとしたさまざまな記事の監修も担当している。
https://daisakukobayashi.com/