コラム

令和8年度税制改正大綱が公表!マイホーム購入に関する改正点とは?

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2025年12月に政府から発表された『令和8年度税制改正大綱』では、住宅ローンを利用する方を対象とした「住宅ローン控除」の適用期限が延長されることが決まりました。

 

子育て世帯や若者夫婦世帯への優遇措置も継続される方針であり、一定の要件を満たしていれば中古住宅も最大13年の控除が受けられるなど一部の内容がより拡充されています。

 

一方で、所定の省エネ基準に適合しない新築住宅や災害リスクエリアにある住宅は対象外となるなど一部の制度内容は厳格化される見込みです。

 

本記事では、税制改正の内容から住宅ローン控除の改正点を詳しく解説します。

 

 

令和8年度税制改正大綱の基礎知識

 

税制改正大綱とは、翌年以降の税制の方針をまとめた文書のことです。

 

令和8年度分は、2025年12月に閣議決定されました。

 

今回の税制改正大綱には、物価高への対応、デフレからの脱却と「強い経済」の実現、そして公平な負担の確保を主眼とした改正内容が多数盛り込まれました。

 

住宅ローン控除の延長をはじめとしたマイホーム購入に関連する項目だけでなく、いわゆる「年収の壁」の見直しや暗号資産の課税制度の改正などについても記載されています。

 

今後は2026年1月〜3月の国会審議を経て、4月1日から正式に施行される予定です。

 

改正案が実際に適用される具体的な時期は制度によって異なりますが、新しい住宅ローン控除については2026年1月1日以降に入居した人が対象になる見込みです。

 

 

住宅ローン控除の改正内容

 

令和8年度税制改正大綱では、住宅ローン控除の適用期限が2030年12月31日までの5年間延長されることが盛り込まれました。

 

新しい住宅ローン控除でも、直近の制度と同じく年末時点の住宅ローン残高の0.7%が、所得税や控除対象の住民税から差し引かれます。

 

一方、控除期間については所定の省エネ基準を満たす住宅は新築・中古ともに13年間、その他の住宅は中古が10年間であり、新築は対象外です。

 

控除額の計算対象となる借入額の上限(借入限度額)は、以下の通り住宅の環境性能や世帯属性によって異なります。

 

1770027620-LzIqa.png※出典:国土交通省「令和8年度税制改正概要

 

不動産会社が中古住宅を買い取ってリフォームやリノベーションを施して再販する「買取再販住宅」についても新築住宅と同様の控除が受けられます。

 

また、改正後の住宅ローン控除は、2024年1月1日〜2025年末の入居者を対象とした制度と同様に、以下の子育て世帯等に該当する場合、特例により借入限度額が引き上げられます。

 

  • 19歳未満の子を有する世帯
  • 夫婦のいずれかが40歳未満の世帯

 

以下では、変更点をより詳しく解説します。

 

 

中古住宅(既存住宅)の優遇が拡充

 

改正後の住宅ローン控除では、従来の制度に比べて中古住宅の借入限度額がより拡充される見通しです。

 

中古住宅の場合、これまでは所定の基準を満たす認定長期優良住宅や認定低炭素住宅などは借入限度額が3,000万円であり、その他の住宅は2,000万円でした。

 

一方、改正後は長期優良住宅・低炭素住宅、ZEH水準省エネ住宅の借入限度額が3,500万円に引き上げられ、子育て世帯等については4,500万円まで対象となります。

 

また、長期優良住宅や低炭素住宅などの環境性能が高い中古住宅については、控除期間がこれまでの一律10年から「13年」に延長されます。

 

省エネ基準適合住宅等の借入限度額は2,000万円に引き下げられたものの、ZEH水準以上の高性能な中古住宅を購入するのであれば、より多くの控除を受けることが可能です。

 

 

床面積要件の一部緩和

 

直近の住宅ローン控除では、取得する住宅の床面積が原則として50㎡以上である必要があり、年間の合計所得金額が1,000万円以下の世帯に限り、40㎡以上に緩和されました。

 

改正後についても、同様に合計所得金額1,000万円以下であれば床面積の要件は「40㎡以上」に緩和されます。

 

一方、これまで床面積の要件が緩和されるのは新築住宅と買取再販住宅のみでしたが、今回の改正によって「既存住宅(中古)」も適用対象となる見込みです。

 

1DKや1LDKなどコンパクトな間取りの住宅を検討している方や、都市圏の中古物件を取得したいと考えている方などにとっては有利な変更点といえるでしょう。

 

ただし、子育て世帯等が借入限度額を引き上げる特例を受けるためには、床面積が50㎡以上の住宅を取得する必要があります。

 

 

省エネ基準等の厳格化

 

住宅ローン控除が2030年まで延長されたことと引き換えに、住宅に求められる省エネ基準は段階的に厳しくなります。

 

直近の住宅ローン控除でも「省エネ基準に適合しない新築住宅」は原則として控除の対象外であり、改正後もその方針は続く見通しです。

 

また、2028年1月以降は原則として「ZEH水準」以上の性能がないと、住宅ローン控除は受けられません。

 

2027年末までに建築確認を受けた省エネ基準適合住宅であれば、住宅ローン控除の対象となりますが、借入限度額は2,000万円、控除期間は最大10年となります。

 

2025年には新築住宅に所定の省エネ基準の適合が義務化されており、2030年にはZEH基準の適合が義務化される予定です。

 

将来的に資産価値を維持するためにも、これから新築住宅を購入する方はZEH基準適合の住宅を選ぶとよいでしょう。

 

 

【要注意】災害リスクエリアは住宅ローン控除の原則対象外

 

これまでの住宅ローン控除は主に「省エネ性能」が重視されていましたが、今回の改正では「立地」も見逃せないポイントとなります。

 

具体的には、2028年1月以降に住み始める場合「災害危険区域等(いわゆるレッドゾーン)」にある住宅を取得する場合、原則として住宅ローン控除を受けられません。

 

「災害危険区域等」とは、建築などに制限がかかるような危険性の高い以下のエリアを指します。

 

  • 災害危険区域:建築基準法に基づき、津波・高潮・洪水・崖崩れなどの災害発生のおそれが著しいとして、都道府県や市町村の条例で建築が制限・禁止されている区域
  • 地すべり防止区域:地すべり等防止法に基づき、地すべりによる被害を防止するため国または都道府県が指定し、土地の掘削や盛土、工作物の設置などが制限される区域
  • 急傾斜地崩壊危険区域:急傾斜地の崩壊による災害防止に関する法律に基づき、傾斜度や高さが一定以上の急傾斜地で、崩壊により人家等に被害が生じるおそれがある区域、およびそれに隣接する一定の区域
  • 土砂災害特別警戒区域:土砂災害防止法に基づき、土石流・急傾斜地の崩壊・地すべりにより建物が破壊され、住民の生命に著しい危害が生じるおそれがあるとして指定される区域(レッドゾーン)
  • 浸水被害防止区域:特定都市河川浸水被害対策法に基づき、河川の氾濫等による浸水被害を防止・軽減するために指定され、一定規模以上の建築行為や開発行為が制限される区域

 

ただし、以下のような特定の事情がある場合には例外として住宅ローン控除を受けることが可能です。

 

  • 災害危険区域等のエリアに5年以上住んでいた人が、同じ敷地内で建て替える場合
  • 建築確認を受けた時点で土地のすべてが災害危険区域等に指定されていなかった場合

 

マイホームを購入するときは、契約を結ぶ前にその土地が災害危険区域等に含まれていないかどうかを必ず確認することをおすすめします。

 

不動産会社へ「ここは2028年以降の住宅ローン控除対象外のエリアに該当しますか」と質問することに加え、重要事項説明書などの資料もよく確認することが大切です。

 

 

まとめ

 

  • 令和8年度税制改正大綱では住宅ローン控除が2030年末までの5年間延長されることが決まった
  • 新しい住宅ローン控除では一定の要件を満たす中古住宅の借入限度額が拡充され、要件を満たすと床面積40㎡以上で控除の対象となる
  • 省エネ基準に適合しない新築住宅は引き続き対象外となる他、2028年以降はZEH水準未満の新築住宅や災害リスクが高い区域の住宅を取得する場合も控除を受けられなくなる

 

【コラム執筆者】

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品木 彰(シナキ アキラ)

プロフィール

保険・不動産・金融ライター。ファイナンシャルプランナー2級技能士。大手生命保険会社や人材会社での勤務を経て2019年1月に独立。年間で700本以上の記事執筆に加えて、不動産を始めとしたさまざまな記事の監修も担当している。

https://daisakukobayashi.com/