住宅ローンの金利は固定金利と変動のどちらを選ぶのが正解?特徴や選び方を解説

「住宅ローンの金利は、固定と変動のどちらを選べば良いのだろう?」と、悩まれる方は多いです。どの金利タイプを選ぶのかによって、毎月の返済額や利息総額が大きく変わってくるため、悩んでしまうのも無理はありません。
ネット記事やSNSで「低金利の時代は固定金利が正解」といった発信を見た方もいらっしゃるでしょう。しかし住宅ローンの金利選びに明確な正解はないため、特徴を理解したうえでご自身に合ったものを選ぶ必要があります。
本記事では、住宅ローンの金利タイプごとの特徴や、実際に住宅ローンを利用している人が選択した金利タイプ、失敗しない金利の選び方などを、幅広く解説します。
住宅ローン利用者のうち変動金利にした人が6割!固定金利は約1割
では、住宅ローンを組んで住宅を購入した人は、どの金利タイプを選んだのでしょうか??
住宅金融支援機構の調査によると、以下のように住宅ローン利用者の約6割が、返済期間中に金利が定期的に見直される「変動金利」を選択しています。

※出典:住宅金融支援機構「住宅ローン利用者調査(2020年5月調査)」
借り入れから5年や10年といった一定期間の金利を固定する「固定期間選択型」を選んだ人の割合は、年々低下しています。借り入れから返済終了まで金利が変わらない「全期間固定型」を選んだ人の割合は、おおむね10%台で推移しています。
しかし借り入れた人の多くが選んでいるからといって、変動金利が正解とは限りません。金利タイプによってメリットやデメリットが異なるため、それぞれを比較し、ご自身にとって最適なものを選ぶことが大切です。
住宅ローンの金利タイプごとのメリット・デメリット
ここでは、各金利タイプの特徴やメリット、デメリットをわかりやすく解説していきます。
■変動金利
変動金利とは、住宅ローンの返済途中で利息の計算をする際に用いられる金利が、半年に1度のタイミングで見直される金利タイプです。
●メリット
・借入当初の金利が低い
・返済負担が急上昇しない仕組みがある
●デメリット
・金利上昇リスクがある
・返済額の見通しがつかないため返済計画や将来のライフプランが立てにくい
変動金利は、他の金利タイプよりも借入時に適用される金利が低いです。そのため住宅ローンを借り入れた当初は、他の金利タイプを選んだ場合よりも毎月の返済額が少なくて済みます。
また変動金利には、以下2つのルールがあるため、返済途中で金利が上昇しても、毎月の返済額が急激に増える心配はありません。
- 5年ルール:返済額が見直されるのは5年に1度である
- 125%(1.25倍)ルール:見直し後の返済額は見直し前の1.25倍を超えない
※変動金利に5年ルールや125%(1.25倍)ルールを設けていない金融機関もあります
例えば、毎月の返済額が15万円だったとしましょう。借り入れから5年間は、たとえ利が上昇しても15万円が返済額の上限となります。
5年に1度の返済額見直し時には、125%ルールが適用されるため、たとえば金利が上昇しても、返済額が15万円の1.25倍である187,500円を超えることはありません。
ただし5年ルールや125%ルールは、あくまで返済額に占める元本と利息の割合を調整しているだけです。金利が上昇すると返済負担が増えて、家計を圧迫する恐れがあります。
また、金利が上昇して返済額に占める利息の割合が増えると、元本が減っていかなくなり当初の計画通りに返済が進まなくなります。
■全期間固定金利
全期間固定金利とは、借り入れから返済終了までの金利が固定されている金利タイプです。住宅金融支援機構と民間の金融機関が共同で提供している「フラット35」が有名です。
メリット
・金利上昇を心配しなくて済む
・毎月の返済額が決まるため返済計画や将来のライフプランが立てやすい
デメリット
・借入当初の毎月の返済額が高い
・世の中の金利水準が変わらない場合、返済総額は高額になる
全期間固定金利は、変動金利のように返済額が見直されないため金利の上昇を心配することなく住宅ローンを返済していけます。
借入時に毎月の返済額や返済総額が確定するため、変動金利のように金利の上昇によって返済計画に狂いが生じたり、返済負担が増えて家計を圧迫する心配はありません。
しかし全期間固定金利は、他の金利タイプよりも借入時の金利が高く設定されているため、借入当初の返済額が高額です。
返済期間中に世の中の金利水準があまり変わらなかった場合、全期間固定金利の返済総額は、他の金利タイプで借り入れたときよりも高額になります。
■固定期間選択型
固定期間選択型とは、住宅ローンを借り入れた当初の一定期間、特約で金利を固定させている住宅ローンです。選択できる金利の固定期間は、金融機関によって3年、5年、10年、15年などさまざまです。
金利の固定期間が終了すると、特約が消滅して変動金利に移行しますが、金融機関が取り扱う固定金利の中から選んで再び金利を固定させることもきます。しかし金融機関によっては、再び金利を固定させる場合に手数料がかかる場合があるため注意が必要です。
メリット
・金利固定期間中の金利が低い
・金利の固定期間中は金利の上昇を心配せずに済む
デメリット
・金利が固定される期間が終了すると返済額が増えることがある
・固定資産税期間終了後の変動金利に5年ルールや125%ルールが適用されない
金利の固定期間中は、変動金利なみの低い金利が適用されるため、毎月の返済負担を抑えて着実に元本を返済できます。金利の固定期間中は金利の上昇による返済負担の増加を心配する必要はありません。
ただし住宅ローンのプランによっては、固定期間終了後に金融機関の設定する引き下げ幅が変わり、変動金利と固定金利のどちらに移行しても返済負担が増える恐れがあります。
住宅ローンの利息計算で用いられる金利は、店頭金利から一定値を引き下げて算出されます。プランによっては、金利の固定期間中と終了後で店頭金利から引き下げられる金利が異なる場合があるため、契約前に必ず確認しましょう。
また、金利の固定期間が終了した後の変動金利には、5年ルールや125%ルールが適用されないケースがほとんどです。そのため固定期間終了後の変動金利は、通常の変動金利型よりもリスクが高いといえます。
固定金利と変動金利はどちらが良い?失敗しない住宅ローン金利の選び方
住宅ローンの金利は、金利タイプごとの返済シミュレーションや、将来に金利上昇が起こった場合の返済シミュレーションなどを確認して選ぶことが大切です。
返済シミュレーションを確認することで「返済額の差が毎月1万円程度なら、固定金利にしたほうが安心だ」「将来的に金利が〇〇%に上昇しても、返済額が〇〇円しか変わらないなら変動金利にしておこう」など、ご自身が納得できる答えが見つかりやすくなります。
また借入額の60%を固定金利、残りの40%を変動金利のように、異なる金利タイプを組み合わせたミックスローンを利用するのも選択肢の一つです。
ミックスローンで借り入れると、全額を固定金利で借り入れたときより返済負担を下げつつ、全額を変動金利で借り入れたときよりも、金利上昇リスクを抑えられます。
「みんなが選んでいるから」「金利が低いから」のように選ぶのではなく、さまざまな要素を比較して、金利タイプを選んでみてください。
まとめ
●住宅ローンの金利タイプには「全期間固定金利」「変動金利」「固定期間選択型」の3種類であり、それぞれにメリットとデメリットがあります。
●住宅ローンを利用した人の約6割が、変動金利を選択していますが、借り入れ方や借り入れる人の状況によって正解は異なります。
●住宅ローン金利は、返済シミュレーションを確認し、ご自身の状況に照らし合わせたうえで慎重に選びましょう。
【コラム執筆者】

品木 彰(シナキ アキラ)
プロフィール
保険・不動産・金融ライター。ファイナンシャルプランナー2級技能士。大手生命保険会社や人材会社での勤務を経て2019年1月に独立。年間で700本以上の記事執筆に加えて、不動産を始めとしたさまざまな記事の監修も担当している。
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