エコカラットとは?気になる効果や事例を解説

リクシル(INAX)の内装壁材(内装建材)に「エコカラット」というものがあります。
マンションのお部屋は気密性が良い事も特徴の一つですが、反対に、湿気や結露の発生や匂い等こもりやすい部分もあります。リフォームやリノベーションのご相談の時、そのようなお悩みを抱えている方も多くいらっしゃいます。
そこで、今回は加湿も除湿もしてくれる調湿機能のある「エコカラット」のご紹介します。
そもそもエコカラットとは?
伝統的な「土壁」がルーツの、温度と湿度を保つ便利な建材

エコカラットとは、「多孔質セラミック」という微細な孔を持つ原料をタイル状に焼いてインテリアで使用できるようにしたもの。
高温多湿な日本の気候との相性がいい伝統的な「土壁」がルーツになっています。土壁には湿度を調整する性質があります。湿度が高ければ空気中の水分を吸収し、湿度が低ければ水分を放出して過度な乾燥を防ぐなど、その性質から日本家屋でよく使われていました。土壁はまるで生きているかのように水分や空気を吸ったり吐いたりするため、「呼吸する壁」とも言われます。
そんな「土壁」をヒントにリクシルが長年の研究で培ってきた焼きものの技術を融合し出来上がった壁材がエコカラット。人にも環境にもやさしい建材として2010年にはグッドデザイン・ロングライフデザイン賞を受賞するなど、これまでにいくつもの賞を受賞しています。
このように、空気をきれいにしたり調湿効果で部屋の環境を整えてくれる効果を持つエコカラットですが、デザイン性でも評価が高いのが魅力です。
本物の石材や漆喰などに限りなく近い、微妙な色の揺らぎや表面の質感。エコカラットを使うことで通常の壁紙にはない存在感や高級感が演出されます。
また、種類も豊富でシックでゴージャスなものから渋い和モダン風まで幅広くあるので、お部屋のインテリアに合わせてエコカラットを選べるのも良いですね。
エコカラットの機能・効果は?
伝加湿も調湿してくれるので、1年通していつでも快適!

エコカラットには1mmの百万分の1の微細な孔があいていて、なんと珪藻土よりもはるかに細孔が多く、室内の湿度が高いときはこの孔が湿気を吸収して湿度を下げ、湿度が低いときは湿気を出して部屋に潤いをもたらしてくれるという仕組みです。
湿度が高いジメジメとした環境では、カビやダニが発生しやすくなります。また、カビやダニは小さく気付きにくいので気づいた頃には広範囲に広がっているということもあります。エコカラットを使うと高湿度を防げるのでカビの予防にもなります。他にも、部屋干しなどによる室内の湿気が上昇しやすい空間でもエコカラットを使うことで、室内の湿度を快適に保つことが期待できます。
また、夏場の湿気だけでなく冬場の乾燥にも心強いエコカラット。エコカラットは部屋の湿度が下がると湿気を吐き出す構造になっているので、乾燥しすぎを防ぐ効果があります。寝ている間の乾燥が気になるという人が寝室の壁に採用するケースも増えているそうです。
部屋の湿度が下がりすぎるとノドや鼻の痛みや、お肌の乾燥、風邪にもかかりやすくなるといわれています。なかなか難しい湿度コントロールですが、エコカラットがあれば、快適な湿度につつまれた気持ちのよい暮らしが期待できそうです。
※これらの効果を発揮する目安としては床面積のおよそ1/4以上の壁面席に施工することをオススメしています。(ニオイに関しては、これよりも少ない面積でも効果を感じられることがあります。)
脱臭効果と有害物質の吸着・低減で子供に優しい
普段の暮らしの中で人が不快と感じるニオイには、トイレ臭、生ゴミの腐敗臭、タバコ臭、ペット臭などがあり、換気だけではどうしても消えないですよね。
エコカラットは臭いの原因物質と言われている「アンモニア、トリメチルアミン、硫化水素、メチルメルカプタ」を吸着し・悪臭をやわらげる効果があります。
特にペット臭など、時間とともに嗅覚が慣れてしまうことがあるので、エコカラットを使っておくと安心してお部屋に人を呼べますね。
エコカラットが吸着する有害物質は?
コカラットは、シックハウス症候群の原因とされるホルムアルデヒドなどの有害な物質を原料に用いていない建材です。(シックハウス症候群とは、フローリングやクロス、接着剤などから発生する化学物質などによって室内の空気が汚染され、健康状態に影響を及ぼすこと。)
そればかりか、家具や他の建材から揮発するこれらの汚染物質を吸着し、濃度を低減する効果があります。新築初期にはホルムアルデヒド濃度が高くなるといわれています。 特に、体の小さな子どもは、空気環境による影響を受けやすいといわれているので、お子様がいる家庭には嬉しいポイントですね。
エコカラットの寿命はどのくらい?
慎重に検討して導入したエコカラットであれば、寿命も気になります。エコカラットの耐用年数は特になく、基本的には半永久的に使うことが可能です。
目に見えない小さな孔が無数に空いているという構造上、汚れなどによってその孔がふさがってしまうと、機能が落ちてしまいます。こまめなお手入れやメンテナンスで孔が塞がらないように注意しましょう。また適度な換気も大切です。
基本的には耐久性にすぐれた、焼き物であり紫外線による劣化や変色などもほとんどありません。
まとめ
●エコカラットの機能や特徴などについてお伝えしました。壁は部屋の中でも広い面積を占める部分。
●それだけに、壁材選びによって内装の印象や室内の快適さは大きく変わってくると言えます。
●新築やリフォームの際に壁材選びをする際には、エコカラットも選択肢に入れてみてください。
【コラム執筆者】

島 ひかる
プロフィール
インテリアコーディネーター、2級建築士、宅地建物取引士。株式会社Praemio代表取締役。その空間で過ごす「人」を中心に発想したデザインで、人の日常の体験や経験を豊かにするインテリアデザインから設計まで幅広く担当。
https://praemio.work